「同じように歯みがきをして、同じように間食をしていても、むし歯になる人とならない人がいるのはどうして?」と思ったこと、ありませんか? 実は、どれくらいむし歯になりやすいかは、人によって違うのです。その違いの大きなポイントは3つ。
まずは、食事の習慣について。ジュースを飲んだり食事をしたりすると、口の中でむし歯菌が元気に活動しはじめます。そのため、口の中に食べものが入っている時間が長いと、当然むし歯菌が歯の表面を攻撃する時間も長くなるため、むし歯のリスクが高まります。
2番目は、すぐにわかりますね。細菌がたくさんいる人ほど、むし歯になりやすいわけです。極端な話、細菌がまったくいなければ、食事をして歯みがきをサボったとしてもむし歯にはなりません。
3番目は、だ液の量の違いです。食事をすると、むし歯菌が歯の表面を攻撃し、歯の中からミネラル分が溶け出します。そのままだとむし歯になってしまいますが、だ液には溶け出したミネラル分をもとに戻す働きがあるため、だ液がしっかり出ていれば、むし歯になりにくいというわけです。
口の中のむし歯菌の量やだ液の量・性質は、歯科医院で「だ液検査」を受けることで簡単に調べられます。
どれくらいむし歯になりやすいかを知るバロメーターとなる検査で、むし歯予防先進国のフィンランドで広く用いられている方法です。検査を行うことで、お子さま一人ひとりに合わせたむし歯予防のプログラムが立てられます。
検査の方法は簡単。味のないガムを噛んで、だ液を出すだけ。出しただ液から、口の中にいるむし歯菌の量と、だ液にどれくらい歯を守る力があるのかを調べます。
※だ液検査の結果が出るまでに、2日〜4日かかります。

目に見えないむし歯菌が
コロニー(細菌を培養したもの)で確認できます。
よく噛めるバランスのとれた咬み合わせをつくる矯正歯科治療。治療後は、歯みがきもしやすくなるため、むし歯や歯周病にもなりにくくなるといわれています。しかし、治療中は要注意! 口の中に矯正装置が入っていることで、歯ブラシが届きにくい部分が増え、むし歯の原因になる細菌(ミュータンス菌)の数が、ふだんの約4倍に増えてしまいます。
さらに、矯正装置をつけている間は歯にミネラル分を補給する働きがあるだ液もふだんより減ってしまうため、むし歯になりやすい状態に。ただし、心配はご無用です。どれくらいむし歯になりやすいかがあらかじめわかっていて、対策をきちんと行なえば、間違いなくむし歯は予防できるのです。
では、どうしたらむし歯をつくらずに矯正歯科治療をして、健康でキレイな歯並びを手に入れることができるのでしょう? ここで、お母さんの出番です。食習慣の改善や毎日の歯のお手入れなど、治療中のお子さまをぜひともサポートしてあげてください。
そのためのポイントは次の3つです。
まずは、矯正歯科でだ液検査をしてリスクを調べてもらうことが大切です。その結果、むし歯になりやすいという結果が出たとしても、その分、対策を十分に行なえば大丈夫。逆に、なりやすいからこそ将来のために矯正歯科治療をして、むし歯になりにくい歯並びにしておきたいですね。

だ液検査の結果。むし歯のなりやすさなどがグラフで示されています。
この結果を、これからのむし歯予防に役立てていきます。
今あるむし歯をきちんと治療したり、食習慣を改善したり。また正しい歯みがき法を実践するのをはじめ、フッ素、キシリトールなどを歯医者さんの指導に従って上手に利用していきましょう。
矯正歯科治療が終わるまでには何年もかかります。その間、毎日の歯みがきはもちろん、フッ素やキシリトールの使用など、ご家庭でのお手入れをサポートするのがお母さんの大切な役割です。そしてもうひとつ。ご家庭だけではお手入れが行き届かない部分を、きちんと矯正歯科や一般歯科でチェックしてもらい、定期的に専門家のクリーニングを受けることが必要です。
実は、定期的に歯科医院でクリーニングを受ける必要があるのは、矯正歯科治療中だけではありません。治療が終わった後も(または、矯正歯科治療を受けていなくても)、定期的に歯科医院でのクリーニングを受けることで、むし歯や歯周病にかからずに一生自分の歯で快適に過ごすことができるのです。
これらお子さまに合った毎日のお手入れに、正しい生活習慣が加われば「鬼に金棒」! お子さまの矯正歯科治療を決めたお母さんは、キレイな歯並びだけでなく、生涯にわたって健康に過ごせる習慣という、かけがえのない宝ものをお子さまにプレゼントをすることになるのです。